ドクターインタビュー

Interview

病院は「人」がベース。トップ名医が高度医療を施す重要性を伝えたい
~順天堂大学病院の取り組み(前編)~
2022.01.26

順天堂大学病院では、診療面のみならず研究・医学教育や国際交流などを通じて幅広い活動を行っており、最高・最良の医療を提供しつつ、最新の研究を展開出来るように取り組んでいる。また、国際的な視野を生かして、分子病態の深い理解に根差したハイエンドの診療を常に目指している。

FeliMedix(フェリメディックス)株式会社の創業者で、現在は医療顧問の小野正文教授(香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学講座)が、順天堂大学病院の渡辺純夫特任教授に、「名医が高度医療を施す重要性」についてお話を伺いました。

氏名:渡辺純夫
(わたなべ すみお)
順天堂大学医学部消化器内科特任教授・名誉教授

  • 1976年3月 
    順天堂大学医学部卒業
  • 1980年7月 
    順天堂大学医学部消化器内科助手
  • 1981年9月 
    カナダ・トロント大学病理学教室(トロント小児病院)研究員
  • 1995年7月 
    順天堂大学消化器内科助教授
  • 1999年2月 
    秋田大学第一内科教授
  • 2006年9月 
    順天堂大学医学部消化器内科主任教授
  • 2017年4月 
    現職

主な著書

順天堂医院のおいしい肝臓病レシピ
順天堂医院のおいしい肝臓病レシピ
今すぐできる!肝機能を上げる40のルール (健康図解シリーズ)
今すぐできる!
肝機能を上げる40のルール
(健康図解シリーズ)
肝臓病――治る時代の基礎知識 (岩波新書)
肝臓病
治る時代の基礎知識 (岩波新書)

氏名:小野正文
(おの まさふみ)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学講座 教授(医学博士)
東京女子医科大学附属足立医療センター内科 非常勤講師
FeliMedix株式会社創業者・医療顧問

  • 1990年 
    高知医科大学医学部医学科卒業
  • 1998年 
    高知医科大学医学部第一内科助手
  • 2000年 
    ベーラー医科大学感染症内科(米国)リサーチフェロー
  • 2001年 
    ジョンズホプキンス大学消化器内科(米国)リサーチフェロー
  • 2015年 
    高知大学医学部附属病院 准教授
  • 2019年 
    東京女子医科大学東医療センター内科 准教授
  • 2021年 
    現職

順天堂大学の先進的な取り組み

  1. 「人」が最重要!スペシャリストの積極的なリクルート
  2. 最先端技術を持つ教授からの直接指導でスペシャリストを育成
  3. 多くの外来患者様を効率よく対応するシステムの導入

お二人の関係性について

小野教授:

渡辺教授は、私と同様に肝疾患、特に脂肪肝に関する診療・研究を専門とされており、この分野の第一人者です。また、渡辺教授は日本消化器病学会の脂肪肝に関する診療ガイドライン(NAFLD/NASH診療ガイドライン)の作成委員長をなさり、私も作成委員であったことなどから、これまで様々な事柄でご指導頂いてきました。 

渡辺教授:

ガイドラインを作る際に全国から20人くらい優秀な医師を集めました。そのうちの一人として小野先生にもメンバーに加わってもらいました。

順天堂大学の特徴的で先進的な取り組みについて

小野教授:

順天堂大学病院では多くの名医の先生方が教授として在籍されており、先進的な取り組みがなされていると思います。順天堂大学病院独自の診療に関する先進的な取り組みについてお聞かせ下さい。

渡辺教授:

スタッフに有能な人材がいないと病院は機能しません。病院は”人”がベースとなりますので、良い人材をリクルートしていくことは非常に重要だと考えています。


国立大学と比べて、私立である順天堂大学は医師の定員数も厳しく決められているわけではなく、積極的に人材をリクルートできる環境です。優秀な人材をいかにリクルーティングできるのかということが、将来の順天堂大学のキーになってきます。今までも先進医療に精通しているスペシャリストを、外部から順天堂大学にお呼びして一緒に仕事ができる環境を作り上げてきました。人をリクルートするときに「三無主義」というものを意識しています。「国籍関係なし」、「男女関係なし」、「学閥関係なし」、ということです。


リクルート活動だけでなく、順天堂大学のなかの人材をスペシャリストとして育成することにも力を入れています。最近では、「低侵襲外科」といって、なるべく「切る・貼る」をせずに胸腔鏡や腹腔鏡で手術をおこなうのが主流になってきています。胸腔鏡や腹腔鏡でやると機能回復が早く、患者さんが早く退院できます。また、後遺症などが残らないというメリットがあります。肝癌の治療については、手術をして肝がんを取り除くという手法は今でも活発に行われています。しかし、最近ではラジオ波焼灼療法(RFA)と呼ばれる肝臓に針を刺して電気でがんを焼く方法があります。その最先端の治療法を実践していた先生を順天堂大学に教授として来てもらい、治療を行うということもしています。

スペシャリストを自前で育成すると同時に、他の場所からリクルートしてくることをやっていきたいと考えています。将来的に順天堂大学、そして日本の医療を支えていくような人材を広く求めています。


順天堂大学の外来は非常に活発で、1日5,000人ほどの患者さんが来院されます。消化器内科だけでも400人ほどの患者さんが毎日受診しています。膨大な数の患者さんをいかに効率的に診察していくのかというのは大きな課題です。新患の患者さんが地域のクリニックなどから紹介される場合、”地域医療連携室”という受付を経由することで事前に診察登録が出来ており、効率的に診察を受けられるシステムがあります。患者さんも待ち時間なく、当日の朝に病院に行ったらすぐに診察が受けられるようになっています。待ち時間を短くできるシステムなので、患者さんにとっても非常に優れたシステムです。


そのほかにも、”予約診察室”というものがあります。診療とは別料金にはなりますが待ち時間をゼロにしたいという人に対して、予約料として追加料金をお支払いいただくことで待ち時間を少なく診察が受けられるというものです。このシステムは順天堂大学がいち早く導入したシステムです。


診察は早く終わったけど、会計や薬の受け取りに時間がかかるという問題もあります。その問題を解決するために、院内で会計をするのではなく、クレジットカードで後日引き落とすようなシステムもあります。また、薬の受け取りに関しても再診の人であれば自宅まで宅配するという仕組みもありますね。患者さんの負担を減らしてあげたいという想いから色々な取り組みを行っています。

患者さんが「高度・専門医療」を受ける重要性について

小野教授:

FeliMedix(フェリメディックス)株式会社では、患者さんに日本トップ名医の先生方をご紹介し、「高度・専門医療」による治療を受けて頂く「BeMEC(ビーメック)」というサービスを行っております。患者さんが「高度・専門医療」を受ける重要性や必要性などについて、先生のお考えをお聞かせ頂けないでしょうか。

渡辺教授:

胃がんの治療をするにしても、病院によって得意分野が異なります。お腹を切ることが得意な病院もあれば、腹腔鏡でやるのが得意な病院もあります。我々としては、より先進的な方法で、より確実に、より安全に治療が受けられる施設を紹介して治療を受けてほしいという気持ちがあります。その人の要望にあった最適な病院を紹介して治療を受けていただくというのが重要だと思います。 

FeliMedix(フェリメディックス)が提供する「BeMEC(ビーメック)」サービスを活用して、適切な病院を紹介してもらうというのは大きなメリットがあるのではないかと思っています。しっかりとした知識や見識がある人が病院を紹介するというのは非常に良いシステムだと感じています。


FeliMedix(フェリメディックス)が提供している「BeMEC(ビーメック)」サービスは、人口が多い都市部では特に需要が高いのではないかと考えています。さまざまなチャンネルから高度な医療にアクセスできるようになることは、日本の医療界にとっても非常に良いことだと思います。

消化器疾患、肝疾患のトピックスについて

小野教授:

渡辺先生のご専門の消化器疾患、肝疾患における最近の話題(トピックス)や最新の治療法についてお聞かせください。

渡辺教授:

最近話題性があるのは、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)についてです。よく原因がわかっていませんが、炎症性腸疾患の症例が増えてきています。将来的にはさらにいい薬が出てきてコントロールできるようになるかもしれないということで注目しています。個人的には腸内細菌が関係してくるだろうと考えています。その関係で、「糞便移植」というものがあります。大腸炎を起こしている人に健康な人の糞便を移植すると症状が治まるということが言われており、当院でもいろんな症例を増やして検証しています。


肝臓に関しては、この5年〜10年で病相が一変しました。C型肝炎というウイルス性の肝炎が第一のテーマでしたが、C型肝炎のウイルスの増殖を止める薬が色々出てきて、いくつか組み合わせることで98%ほど治ってしまう状況に変化しました。昔は1年も2年もかけていた治療が、数ヶ月間飲み薬を服用するだけで治ってしまうという時代になったのです。

そのほかにB型肝炎のトピックスとして、ウイルスの増殖は抑えられるようになりました。ただ、なかなかウイルスを完全に肝臓から駆逐することが難しいため、B型肝炎のウイルスを完全に除去できる薬が早く出てくればいいなと願っています。


半年前に改訂した脂肪肝のガイドライン(NAFLD/NASH診療ガイドライン)を発表しましたが、脂肪肝には特効薬的な治療薬はまだありません。糖尿病に使っている薬が脂肪肝をよくするっていう話は出てきていますが、糖尿病のない人はどうすればいいのかという問題は解消されていません。脂肪肝に対する特効薬が出てくることにも期待しています。

(こちらは記事の前編です。後編は3月3日に公開予定です。)