ドクターインタビュー

Interview

病院は「人」がベース。トップ名医が高度医療を施す重要性を伝えたい
~順天堂大学病院の取り組み(後編)~
2022.03.03

順天堂大学病院では、診療面のみならず研究・医学教育や国際交流などを通じて幅広い活動を行っており、最高・最良の医療を提供しつつ、最新の研究を展開出来るように取り組んでいる。また、国際的な視野を生かして、分子病態の深い理解に根差したハイエンドの診療を常に目指している。
FeliMedix(フェリメディックス)株式会社の創業者で、現在は医療顧問の小野正文教授(香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学講座)が、順天堂大学病院の渡辺純夫特任教授に、「名医が高度医療を施す重要性」についてお話を伺いました。


(こちらは記事の後編です。前編はこちらからお読みいただけます。)


氏名:渡辺純夫
(わたなべ すみお)
順天堂大学医学部消化器内科特任教授・名誉教授

  • 1976年3月 
    順天堂大学医学部卒業
  • 1980年7月 
    順天堂大学医学部消化器内科助手
  • 1981年9月 
    カナダ・トロント大学病理学教室(トロント小児病院)研究員
  • 1995年7月 
    順天堂大学消化器内科助教授
  • 1999年2月 
    秋田大学第一内科教授
  • 2006年9月 
    順天堂大学医学部消化器内科主任教授
  • 2017年4月 
    現職

氏名:小野正文
(おの まさふみ)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学講座 教授(医学博士)
東京女子医科大学附属足立医療センター内科 非常勤講師
FeliMedix株式会社創業者・医療顧問

  • 1990年 
    高知医科大学医学部医学科卒業
  • 1998年 
    高知医科大学医学部第一内科助手
  • 2000年 
    ベーラー医科大学感染症内科(米国)リサーチフェロー
  • 2001年 
    ジョンズホプキンス大学消化器内科(米国)リサーチフェロー
  • 2015年 
    高知大学医学部附属病院 准教授
  • 2019年 
    東京女子医科大学東医療センター内科 准教授
  • 2021年 
    現職

渡辺先生が肝疾患の専門医になろうと思われたきっかけ

小野教授:

渡辺先生が肝疾患の専門医になろうと思われた(もしくは肝疾患に興味を持つ)きっかけなどがあればお教えください。

渡辺教授:

1976年に順天堂大学を卒業後、研修医になり、越谷私立病院に派遣され、3ヶ月間の研修を受けました。点滴の仕方や注射の仕方を教えてくれた指導医の先生がいらっしゃったのですが、その先生が肝臓のスペシャリストでした。私が肝疾患の専門医になったのは先生の影響が大きいと思います。また、最初に担当した患者さんがB型肝炎の患者さんでした。B型肝炎が非常に怖い病気で、なぜがんになるのかということをしっかりと勉強したいと考えたのも、肝臓に興味を持ったきっかけです。
また、カナダにあるトロント大学の病理学教室に3年留学した経験があります。そこでは肝臓の病理について勉強し、肝臓の細胞を分離して実験を行っていました。どうやって胆汁ができて、それがうまく流れないときになぜ黄疸ができるかというメカニズムを研究していました。カナダに留学した3年間で良い成果を出すことができたことは、今でも肝臓の専門医を続けている要因の一つかもしれません。

研究活動の先進医療への好影響について

小野教授:

渡辺先生はこれまで脂肪肝をはじめ肝臓を中心にご研究をなさって来られましたが、先端・先進医療を担う専門医にとって、研究活動をすることの重要性や及ぼす好影響について、お考えをお聞かせください。

渡辺教授:

臨床医であっても、基礎的な研究をして病態生理を深く理解することは非常に重要です。基礎的な研究をした上で治療に結びつけるというのが臨床医として理想的な姿だと考えています。順天堂大学としても”フィジシャン・サイエンティスト”を目指そうということを掲げています。”フィジシャン・サイエンティスト”とは、研究者の目を持つ臨床医ということです。病気がどうして治るのかというメカニズムを知ることは非常に重要となります。基礎的な研究は華々しいものではなく、地味なことも多いのが現実です。
しかし、基礎的な研究を続けることで将来の臨床的なセンスも付加されていきます。物事を論理的に考えられるようになるので、若手の医師には基礎的な研究に携わる期間はぜひ作ってほしいと考えています。

現在の我が国の医療の問題点や今後の医療改革について

小野教授:

我が国の医療の問題点や今後どのように改善していくべきか、について先生のご意見をお聞かせください。

渡辺教授:

戦後にできた日本の医療制度は危機を迎えていると思っています。人口構成も変わり、年間医療費が約40兆円を超えていますし、現在の医療システムをバージョンアップしないといけない時期にきているのかなと感じています。
高額な薬が出来てから、さらにその気持ちが強くなりました。高額な薬の出現によって、一人を治療するのにかかる金額が爆発的に上がりました。毎年多くのがん患者さんがいるなかで、高額な薬での治療を続けていくと国の財政が持たないのではないかと考えています。

また、世の中では働き方改革が進んでいますが、医療の世界では働き方改革が全く進んでいないのが現状です。医者が使命感だけで医療界を回していくのはもう限界にきているのではないかと思います。医者の数を増やすということも含めて、広い視点から改善していく必要があると考えています。

小野教授:

本日は大変お忙しいところを弊社までお越し頂き、順天堂大学病院の先進的な取り組みから高度専門医療の重要性、消化器・肝疾患のトピックス、研究活動の重要性や我が国の医療の問題点など多岐にわたる有益なお話をお聞かせ頂きありがとうございました。また、渡辺先生が肝疾患をご専門になさった経緯などについても興味深く拝聴させて頂きました。

弊社では今後も順天堂大学病院と連携させて頂きながら、患者さまのために高度専門医療のお手伝いが出来るよう「BeMEC(ビーメック)」サービスの充実を図っていきたいと考えております。
本日はありがとうございました。